つぎは、これで迷わない!JIS準拠の「粗粒率 求め 方」と品質管理のコツ

14.用語

コンクリートの品質が安定せず、頭を悩ませていませんか?

現場でよく聞く「ワーカビリティが悪い」「強度が思ったより出ない」「ジャンカ(豆板)が発生しやすい」。

これらの問題の裏には、実は「骨材」の質が大きく関わっています。

その骨材の品質を数値で客観的に評価し、コンクリートの性能を管理するための極めて重要な指標、それが「粗粒率(F.M.)」です。

この記事では、コンクリート品質管理のプロフェッショナルとして、以下のポイントを解説します。

  • 粗粒率の正体と重要性
  • 【重要】JIS準拠の正しい計算手順(加積計算)
  • 計算ミスを防ぐ「隠れた数値」の扱い
  • 現場で役立つ品質管理のテクニック

粗粒率をマスターして、自信を持って高品質なコンクリートを提供できるようになりましょう。


「粗粒率(F.M.)」とは? 骨材の個性を数値化した通信簿

まず、粗粒率(Fineness Modulus)の核心に迫ります。

これは、コンクリートの未来を左右する骨材の「粒度(粒の大きさの分布)」を、たった一つの数値で表したものです。

粒度分布がコンクリートの「味」を決める

カレーを作る際、野菜を細かく刻むか、大きくゴロゴロさせるかで食感が変わるように、コンクリートも「骨材の大きさのバランス」で仕上がりが激変します。

  • 粗粒率が大きい(数値が高い): 粒が粗い(大きい粒が多い)
  • 粗粒率が小さい(数値が低い): 粒が細かい(小さい粒が多い)

品質の良し悪しに直結する理由

骨材はコンクリート体積の約7割を占めます。粗粒率が適切でないと、以下のようなトラブルが発生します。

  • 粗粒率が高すぎる(粗い)場合:骨材の表面積が減り、セメントペーストが分離しやすくなります。結果、打設時に骨材が分離し、ジャンカ(豆板)の原因になります。
  • 粗粒率が低すぎる(細かい)場合:表面積が増え、それを覆うための水とセメントが大量に必要になります。粘り気が強くなりすぎてポンプ圧送が困難になったり、単位水量が増えて強度低下を招いたりします。

【実践】JIS準拠!粗粒率の正しい求め方

ここからは、JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」に基づいた正しい計算手順を解説します。

最大のポイントは「個別の残留率」ではなく「加積(累積)残留率」を使うことです。

1. 準備:試料の乾燥とふるい分け

まず、採取した試料を105±5℃で恒量になるまで乾燥させます。

その後、以下の規定のふるいを使って振とう機にかけます。

  • 細骨材用: 10, 5, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3, 0.15 mm
  • 粗骨材用: 80, 60, 50, 40, 25, 20, 15, 10, 5, 2.5 mmなど

2. 計算式

粗粒率 (F.M.) = (各ふるいの「加積」質量百分率の合計)/100

注意!

各ふるいに残った量を単純に足すのではありません。「その網目より大きい粒がトータルで何%あるか」という累積値(加積値)を足し合わせます。


【計算例1】細骨材(砂)の場合

以下のデータ(全試料500g)で計算してみましょう。

ふるいの呼び残留質量 (g)個別残留率 (%)加積残留率 (%)※これを足す
10 mm0.00.00.0
5 mm5.01.01.0
2.5 mm30.06.07.0 (0+1+6)
1.2 mm80.016.023.0 (7+16)
0.6 mm150.030.053.0 (23+30)
0.3 mm120.024.077.0 (53+24)
0.15 mm70.014.091.0 (77+14)
パン45.09.0100.0
合計500.0100.0合計:252.0

計算式:

粗粒率 = (0 + 1 + 7 + 23 + 53 + 77 + 91)/100 = 252/100 = 2.52

答え:2.52


【計算例2】粗骨材(砂利)の場合の注意点

粗骨材の計算では、「5mm以下のふるい」の扱いに注意が必要です。

試験に使用しない小さいふるい(2.5mm〜0.15mmの5つ)には、「100%留まっている」とみなして計算に加えます。

条件: 40mm〜5mmのふるいで試験を実施(全試料2000g)

ふるいの呼び残留質量 (g)加積残留率 (%)
40 mm100.05.0
20 mm400.025.0
10 mm700.060.0
5 mm500.085.0
2.5 mm以下100.0 × 5回分
(2.5, 1.2, 0.6, 0.3, 0.15)

計算式:

粗粒率 = (5 + 25 + 60 + 85 + (100x5))/100) = (175 + 500)/100 = 6.75

答え:6.75

※この「+500」を忘れると、異常に小さい値になってしまうので注意してください。


粗粒率の活用と品質管理のコツ

粗粒率を出して終わりではありません。ここからがプロの腕の見せ所です。

1. 目標値と許容差を設定する

一般的に、細骨材の粗粒率は2.6〜3.1程度が望ましいとされています。

JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)では、購入時の粗粒率に対して±0.20以上の変動 があった場合、配合の修正等の処置をとるよう定めています。

2. 粗粒率が変動したときの「配合修正」テクニック

骨材は自然物なので、採取時期によって粗粒率は変動します。

変動した場合の一般的な調整ルール(JASS 5等による目安)は以下の通りです。

  • 粗粒率が「+0.1」大きくなった(粗くなった)場合:細骨材率(s/a)を 1% 大きくする。(粗くなった分、砂を増やして隙間を埋めるイメージ)
  • 粗粒率が「-0.1」小さくなった(細かくなった)場合:細骨材率(s/a)を 1% 小さくする。(細かくなった分、表面積が増えるので砂を減らす)

このように、「粗粒率が0.1変われば、s/aを1%いじる」と覚えておくと、現場での対応がスムーズになります。これ、ゼネコンの人でも国内にいるとあまり気にしないことですが、海外にいくとこうした知識がとても重要になります。

電話一本で、いい塩梅のコンクリートが簡単に来ないのが海外です!

3. 粒度分布曲線も確認しよう

粗粒率はあくまで「平均的な値」です。

同じ粗粒率でも、特定の大きさの粒だけがスッポリ抜けている場合(粒度欠損)があります。必ず「粒度分布曲線」を描き、JISの標準曲線の範囲に入っているかを確認することで、より確実な品質管理が可能になります。


結論:粗粒率を知ることは、コンクリートの未来を設計すること

粗粒率は、コンクリート品質管理における羅針盤です。

ワーカビリティの悪化や強度のばらつきを感じたら、まずは骨材の粗粒率を疑ってみてください。

  1. JIS準拠の正しい手順(加積計算)で算出する
  2. ±0.2の変動を監視する
  3. 変動に合わせて細骨材率(s/a)を調整する

この3ステップを実践することで、あなたの現場のコンクリート品質は格段に安定するはずです。

一つ一つの粒が、構造物の命運を握っていることを忘れずに、日々の管理に役立ててください。

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