こんにちは。コンクリート技士試験の受験生の皆さん。 セメントはコンクリートの主要材料の一つであり、その種類や特徴を理解することは非常に重要です。
ここでは、セメントの種類と特徴について、過去の試験問題を交えながら解説していきます。 わたしはこのセメントの種類の問題がまずつまづきました。ゼネコンで仕事をしていると生コンにはよくかかわりますが、セメントの種類にはほとんどかかわらないからです。
ゼネコン関係者は私と同じような方が多いのでは?と思います。
だけど、この分野は覚えてしまえば得点源となりますので、何度も繰り返し学ぶことをお勧めします。
セメントの種類と特徴 コンクリート技士試験の類似問題
問題1:早強ポルトランドセメントの特徴として、適当でないものを選べ。
- 普通ポルトランドセメントよりも比表面積が大きい
- 普通ポルトランドセメントよりも初期強度の発現が大きい
- 普通ポルトランドセメントよりも長期強度が大きい
- 普通ポルトランドセメントよりも水和熱が大きい
セメントの種類と特徴 問題の解答及び解説
正解は3です。
早強ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントと比較して、粉末度が高く初期強度の発現性が大きいのが特徴です。なので、凝結始発時間も45分以上であるのが、「早強セメント」もしくは「超早強セメント」となっています。
水和熱も大きくなるのが特徴です。ただし、長期強度は普通ポルトランドセメントとほぼ同等か、若干小さくなる傾向があります。粉末度が高いとはつまり目が細かいということ、そして単位重さあたりの表面積が大きくなることを言っています。
表面積が大きくなるということは、反応する部分が多くなるわけです。だから初期強度の発現性が早強ポルトランドセメントにおいては大きくなるのです。ただ、早く強度が発生するかわりに乾燥収縮も大きいということは覚えておきたい特徴です。
セメントの種類 | 比表面積 (cm²/g) | 比表面積基準(cm²/g) | 凝結 始発(min) |
---|---|---|---|
普通セメント | 3100〜3600 | ≧2500 | ≧60 |
早強セメント | 3900〜4700 | ≧3300 | ≧45 |
超早強セメント | 5500 | ≧4000 | ≧45 |
中庸熱セメント | 2900〜3300 | ≧2500 | ≧60 |
低熱セメント | 3000〜3300 | ≧2500 | ≧60 |
耐硫酸塩セメント | 3000~ | ≧2500 | ≧60 |
中庸熱セメントと低熱セメントは、上記表では違いはわかりにくいですが、中庸熱セメントは水和熱を低くしたセメントであり、水和熱にかかわる、C3S(水和熱=中)とC3A(水和熱=大)の含有量を制限したものです。
また、低熱セメントはさらに水和熱を抑えるために、水和熱が少ない C2S の分量をかなり多くしたものです。これらは、乾燥収縮が小さいという特徴があり、ダム、大規模橋脚工事で使われます。
セメントの種類 | C3S | C2S | C3A |
---|---|---|---|
名称 | けい酸三カルシウム | けい酸二カルシウム | アルミン酸三カルシウム |
中庸熱セメント | 50%以下 | 8%以下 | |
低熱セメント | 40%以上 | 6%以下 | |
耐硫酸塩セメント | 4%以下 |

早強ポルトランドセメントは初期強度発現性が高いが、長期強度は普通ポルトランドセメントと同等か若干低いのです。
また、中庸熱セメントの「中庸」という言葉は、中国の儒教思想でも重要な概念で、極端に走らず適切なバランスを保つことを意味します。つまり、セメントの文脈では、熱特性と強度特性のバランスが取れたセメントである、ということを指し示しています。
簡単にいえば、「中くらい」ということです。

ちなみに、セメントクリンカーの組成化合物の主なものが、けい酸三カルシウム(C3S)と、けい酸二カルシウム(C2S)であり、この二つが8割を占めていて、強度発現に寄与しています。けい酸三カルシウム(C3S)が、90日程度までの早・中期強度に影響をあたえ、けい酸二カルシウム(C2S)は180日程度以上の長期強度発現に寄与しています。このこともあり、低熱セメントでは、40%以上という規定があるのです。
セメントの種類と特徴 覚えておくべきポイント
- ポルトランドセメントには、普通、早強、中庸熱、低熱の4種類がある
- 高炉セメント、フライアッシュセメントなどの混合セメントもある
- セメントの種類により、強度発現性や水和熱、耐久性などの特性が異なる
セメントの種類と用途に応じた特徴を理解することが重要。とくに私のようにゼネコンにいる方だとセメントの細かいポイントって意外に触れることが少なく、知識として覚えていません。少なくとも私はそうでした。
なので、とくにゼネコンの方はこのセメントの章の知識をしっかりと覚えることは覚えるというスタンスで勉強されることをお勧めします。あいまいな知識は選択肢を選ぶときに迷うもとです。ですので、しっかりと要所をおさえましょう。
セメントの種類と特徴 関連知識
- 中庸熱ポルトランドセメント:中庸熱ポルトランドセメントは水和熱が小さいため、マスコンクリートに適している
- 低熱ポルトランドセメント:ダムなどの大規模構造物に用いられる
- 高炉セメント:高炉スラグを混合したセメントで、長期強度や耐久性に優れる
- フライアッシュセメント:フライアッシュを混合したセメントで、長期強度や水密性が向上する
中庸熱ポルトランドセメントは私は使用したことがないのですが、逆に高炉セメントは基礎部分の仕様としてはいっていたので、つかったことがあります。公共の建物だったこともあり高炉スラグのような再生品を利用した材料を積極的に使おうと意図したのだと思います。
ちなみに、高炉セメントもなかなか強度があがらず一般的な強度のコンクリートに慣れていた私は内心ドキドキしたことを思い出します。ちなみに高炉セメントは普通ポルトランドセメントのクリンカと石膏とは別に、製鉄所の溶鉱炉から製造の過程で生成されてしまう高炉水砕スラグを混合して製造しています。
普通ポルトランドセメントよりも水和熱が低く、固まった後は化学抵抗性が強いことから先の基礎だけでなく土木工事で使われる橋脚やダムなどにも使われます。
セメントの種類と特徴 復習問題
問題:以下のセメントの中で、水和熱が最も小さいものはどれか。
- 普通ポルトランドセメント
- 早強ポルトランドセメント
- 中庸熱ポルトランドセメント
- 低熱ポルトランドセメント

正解は4の低熱ポルトランドセメントです。 低熱ポルトランドセメントは、大規模構造物での温度ひび割れ防止を目的として開発されたセメントで、水和熱が最も小さくなっています。
問題:JIS R 5210(ポルトランドセメント)の規定に関する次の記述のうち誤っているものはどれか?
- 普通ポルトランドセメントでは、質量で5%までの少量混合成分をもちいてもよいことが規定されている
- 早強ポルトランドセメントでは、普通ポルトランドセメントよりも比表面の下限値が大きく規定されている
- 中庸熱ポルトランドセメントでは、けい酸二カルシウム(C2S)の上限値が規定されている。
- 低熱ポルトランドセメントでは、材令91日の圧縮強さの下限値が規定されている。

正解は3です。中庸熱ポルトランドセメントでは、この記事の前のほうの表でもありましたが、けい酸二カルシウム(C2S)に関する規定はありません。けい酸二カルシウム(C2S)の規定があるのは低熱セメントです。
セメントの種類と特徴 まとめ
セメントの種類と特徴について理解することは、コンクリートの性能を左右する重要なポイントです。 普通、早強、中庸熱、低熱の4種類のポルトランドセメントに加え、 高炉セメントやフライアッシュセメントなどの混合セメントの特徴を押さえておきましょう。 用途に応じて適切なセメントを選定することが、良質なコンクリートを得るための第一歩となります。
なお、今日説明した高炉セメントはその微粉末の分量で、A種、B種、C種と分類されます。こうしたことがコンクリート技士の試験ではポイントとなってくるのでしっかり覚えておきましょう。
ちなみに、微粉末の量が5%を超え30%以下ならA種。30%を超え、60%以下ならB種。60を超え、70%以下ならC種です。この中でよく使われるのがB種で、普通ポルトランドセメントがNと記載されるのに対して、高炉セメントB種はBBと記載されます。
たまに「BBを使って」などと現場でも使われる用語なので覚えておくとよいでしょう。ちなみに早強セメントは「H」です。このようにどんどん紐づけて知識を覚えておくと、効率的にしっかりと暗記できます。こんなコツも覚えておくことをお勧めします。

セメントの種類と特徴を理解し、用途に応じて適切に選定することが重要
▶もう少し、セメントの種類を細かくこちらに分類しています。もっとセメントを詳しく知りたい方はこちら→コンクリートのセメントの種類とは?
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