1. セメント・混和材料

1-4. コンクリート技士試験 過去問 シリカフュームの特徴と効果

こんにちは、コンクリート技士試験の受験生の皆さん。 今回は、シリカフュームの特徴と効果について解説します。 シリカフュームは、高強度・高耐久性コンクリートの製造に欠かせない混和材料の一つです。

シリカヒュームは、コンクリート技術において重要な混和材の一つです。以下にその概要を簡潔に説明します

シリカフュームとは

  1. 定義: シリカヒュームは、シリコンやフェロシリコンの製造過程で副産物として生成される超微粒子粉末です。
  2. 主成分: 非晶質二酸化ケイ素(SiO2)が90%以上を占めます。
  3. 粒子サイズ: 平均粒径は0.1μm程度で、セメント粒子の約1/100の大きさです。
  4. コンクリートへの効果:
  • 強度増加:セメントペーストの密実化により圧縮強度が向上します。
  • 耐久性向上:細孔構造を緻密化し、塩化物イオンの浸透を抑制します。
  • 水密性向上:微細な粒子が空隙を埋めることで水密性が高まります。
  1. 使用量: 通常、セメント質量の5-15%程度で使用されます。
  2. 注意点:
  • 単位水量が増加する傾向があるため、高性能減水剤との併用が一般的です。
  • 適切な養生が重要で、初期乾燥によるひび割れに注意が必要です。
  1. 適用例: 高強度コンクリート、海洋構造物、化学プラントなどの特殊環境下のコンクリートに使用されます。

シリカヒュームの使用は、コンクリートの性能を大幅に向上させる可能性がありますが、適切な配合設計と施工管理が必要です。コンクリート技士試験では、このような混和材の特性と使用方法の理解が重要となります。

試験勉強と仕事の両立は大変かもしれませんが、ここで紹介する内容を理解することで、 コンクリートの性能向上に役立つ知識が身につくはずです。一緒に頑張りましょう!

シリカフュームの特徴と効果 コンクリート技士試験の類似問題

問題:シリカフュームを使用したコンクリートの特徴として、適切でないものを選べ。

  1. 高強度が得られる
  2. 水密性が向上する
  3. 乾燥収縮が減少する
  4. 流動性が低下する

シリカフュームの特徴と効果 問題の解答及び解説

正解は3です。 シリカフュームを使用すると、高強度と水密性の向上が期待できます。 また、シリカフュームの粒子が非常に細かいため、フレッシュコンクリートの流動性が低下する傾向にあります。

一方で、シリカフュームの使用によりかならずしも、乾燥収縮が減少するというわけではありません。これは配合、養生、環境条件など多くの要因に依存し、必ずしも乾燥収縮が減少するわけでも、また増加するわけでもないということを理解しておきましょう。

Rikisei
シリカフュームは高強度・高水密性を付与するが、流動性の低下と乾燥収縮の増加に注意が必要

シリカフュームの特徴と効果 覚えておくべきポイント

  • シリカフュームは、シリカ(SiO2)を主成分とする超微粒子
  • ポゾラン反応とフィラー効果により、強度と水密性が向上する
  • シリカフュームの使用量が多いほど、流動性が低下する
  • シリカフュームを使用する際は、高性能減水剤の併用が不可欠

シリカフュームの特性を理解し、適切な配合設計と施工管理が重要

シリカフュームを使用する際は、高性能減水剤の仕様が不可欠といわれますが、それは、シリカヒュームの使用でコンクリートの単位水量がふえるから。このあたりは、下記のコラムで説明します。

シリカヒュームと単位水量

シリカヒュームと単位水量の関係は、コンクリート配合設計において重要な考慮事項です。以下にその詳細を説明します:

1.基本的な影響:

  • シリカヒュームの使用は、一般的に単位水量を増加させる傾向があります。

2.増加の理由:

  • 比表面積: シリカヒュームは非常に微細な粒子(平均粒径約0.1μm)で、表面積が大きいため、水の需要が増加します。
  • 粒子形状: 球状ではありますが、その微細さゆえに水を吸着しやすい性質があります。

3.増加の程度:

  • 一般的に、シリカヒューム1%の添加につき、単位水量が約1%増加するとされています。
  • ただし、これは目安であり、実際の増加量は他の要因にも依存します。

4.対策:

  • 高性能AE減水剤の使用: シリカヒュームと併用することで、単位水量の増加を抑制できます。
  • 適切な配合設計: 水セメント比を考慮し、全体のバランスを取ることが重要です。

5.留意点:

  • ワーカビリティ: 単位水量を増やさずにシリカヒュームを使用すると、ワーカビリティが低下する可能性があります。
  • 強度と耐久性: 適切に管理すれば、シリカヒュームの添加により強度と耐久性が向上します。

6.最適使用量:

  • 一般的に、セメント質量の5-15%程度が適切とされていますが、目的や他の条件により変動します。

7.実務上の注意:

  • 試し練り: 実際の材料を用いた試し練りで、適切な配合を決定することが重要です。
  • 品質管理: シリカヒュームの品質や均一性の確認も必要です。

コンクリート技士として、シリカヒュームの使用が単位水量に与える影響を理解し、適切な配合設計と品質管理を行うことが求められます。これにより、シリカヒュームの利点を最大限に活かしつつ、潜在的な問題を回避することができます。

シリカフュームの特徴と効果 関連知識

  • JIS A 6207では、シリカフュームの品質規格が定められている
  • シリカフュームの比表面積は、セメントの50〜100倍程度
  • シリカフュームは、アルカリシリカ反応の抑制効果もある
  • シリカフュームを使用したコンクリートは、養生が重要

なお、ここで養生が重要としているのは、次の点からです。

養生が重要な理由

1.ポゾラン反応の特性:

  • 遅延性:シリカヒュームのポゾラン反応は、セメントの水和反応より遅く進行します。
  • 長期反応:反応が長期にわたって継続するため、十分な水分供給が必要です。

2.微細な空隙構造:

  • 緻密化:シリカヒュームにより、コンクリートの組織が非常に緻密になります。
  • 乾燥リスク:緻密な構造は水分の逸散を抑制しますが、一旦乾燥すると内部への水分供給が困難になります。

3.初期強度発現:

  • 遅延:シリカヒュームの使用で初期強度の発現が遅くなる傾向があります。
  • 適切な養生:十分な強度発現のために、初期段階での適切な養生が重要です。

4.自己乾燥:

  • 低水セメント比:シリカヒュームを使用した配合は often 低水セメント比であり、自己乾燥のリスクが高くなります。
  • 内部養生:十分な外部からの水分供給が必要です。

5.ひび割れリスク:

  • 塑性収縮:シリカヒュームの使用でブリーディングが減少し、塑性収縮ひび割れのリスクが高まります。
  • 適切な養生:初期段階での水分蒸発を防ぐことが重要です。

6.耐久性の確保:

  • 長期的性能:シリカヒュームの効果を最大限に引き出し、高い耐久性を確保するには、十分な養生期間が必要です。

7.表面品質:

  • 仕上がり:適切な養生は、表面の品質や耐摩耗性の向上にも寄与します。

8.適切な養生方法:

  • 湿潤養生:散水や湿布などによる十分な水分供給
  • 封かん養生:シート等で覆い、水分の逸散を防ぐ
  • 養生期間の延長:通常のコンクリートより長めの養生期間を設定

コンクリート技士として、シリカヒュームを使用したコンクリートの特性を理解し、プロジェクトの要求に応じた適切な養生計画を立案・実施することが重要です。これにより、シリカヒュームの利点を最大限に活かし、高品質で耐久性のあるコンクリートを実現することができます。

シリカフュームの特徴と効果 復習問題

問題:シリカフュームを使用したコンクリートの特徴として、適切なものを選べ。

  1. ブリーディングが増加する
  2. 中性化に対する抵抗性が向上する
  3. 凍結融解抵抗性が低下する
  4. 圧縮強度が増加する
Rikisei
正解は4です。 シリカフュームを使用すると、ポゾラン反応とフィラー効果により、圧縮強度が大幅に増加します。 ブリーディングは減少し、中性化抵抗性も向上します。適切な空気量が確保されていれば、凍結融解抵抗性も向上します。

なお、ポゾラン反応とは以下の通りです。

ポゾラン反応とは?

ポゾラン反応は、コンクリート技術において非常に重要な化学反応です。以下にその概要を説明します:

  1. 定義:
    ポゾラン反応とは、ポゾラン材料(シリカやアルミナを主成分とする非晶質物質)が、セメントの水和反応で生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と反応して、新たな水和物を生成する現象です。
  2. 反応式(簡略化):
    ポゾラン材料(SiO2) + Ca(OH)2 + H2O → C-S-H(カルシウムシリケート水和物)
  3. 主な特徴:
  • 二次反応:セメントの水和反応に続いて起こる反応です。
  • 遅延性:一般的にセメントの水和反応より遅く進行します。
  • 強度増進:長期的な強度増加に寄与します。

4.効果:

  • 組織の緻密化:細孔構造を改善し、コンクリートを緻密にします。
  • 耐久性向上:塩化物イオンの浸透抵抗性や化学的耐久性が向上します。
  • アルカリシリカ反応の抑制:遊離石灰を減少させ、ASRのリスクを低減します。

5.代表的なポゾラン材料:

  • フライアッシュ
  • シリカヒューム
  • 高炉スラグ微粉末
  • 火山灰

6.反応の進行:

  • 温度依存性:高温ほど反応が促進されます。
  • 時間依存性:長期にわたって反応が継続します。

7.実務上の考慮点:

  • 初期強度:ポゾラン反応は遅いため、初期強度の発現が遅くなる可能性があります。
  • 養生:十分な水分と時間が必要なため、適切な養生が重要です。

ポゾラン反応の理解は、混和材を含むコンクリートの性能予測や品質管理に不可欠です。コンクリート技士試験では、この反応のメカニズムと効果を理解していることが重要となります。

シリカフュームの特徴と効果 まとめ

シリカフュームは、高強度・高耐久性コンクリートの製造に欠かせない混和材料です。 強度と水密性の向上が期待できる一方で、流動性の低下や乾燥収縮の増加に注意が必要です。

シリカフュームの特性を理解し、適切な配合設計と施工管理を行うことで、 所要の性能を満たすコンクリートを得ることができます。シリカヒュームを混和材料として使用したセメントなどを包括的に学んでおくこともお勧めします。⇒ セメント とは?

Rikisei
シリカフュームの特性を理解し、適材適所で活用することが重要

-1. セメント・混和材料