高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? 特徴は?

14.用語

1. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは?

コンクリート業界、建設業界で働く皆さん、お疲れ様です。日々の業務に追われる中、新しい知識を学ぶのは大変かもしれません。しかし、高炉セメントの理解、しかも建設業でよく使われる高炉セメントB種に関して理解をを深めることは、品質管理や環境配慮型の設計に大きく貢献します。今回は高炉セメントの基礎知識をわかりやすく解説します。忙しい合間にでも、ぜひ目を通してみてください。きっと明日からの仕事に役立つはずです。

ちなみに、高炉セメントとは、普通ポルトランドセメントの原料である石灰石の代わりにある一定の割合で鉄をつくる過程で副産物として得られた高炉スラグ微粉末に置き換えたものです。下の写真が、高炉スラグ微粉末と石灰石微粉末の写真です。似てますよね。もともと高炉スラグ微粉末は、鉄を作る過程で得られたものだから、それを使用した高炉セメントは、時間はかかるとはいえ最終的には石灰石微粉末だけでつくられた普通ポルトランドセメントよりも少しですが強度が高くなるのだと私は理解しています。

http://www.db.shibaura-it.ac.jp/~iyoda/iyo_web2/2011research.html より引用>

[st-kaiwa3]高炉セメントの知識は、現場での判断力を高めます! [/st-kaiwa3]

2. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? コンクリート技士試験の類似問題

Q1: 高炉セメントA種、B種、C種の高炉スラグ微粉末の分量として、正しいものはどれか。

1) A種:5%以上20%未満、B種:20%以上40%未満、C種:40%以上70%以下
2) A種:5%以上30%未満、B種:30%以上60%未満、C種:60%以上70%以下
3) A種:10%以上30%未満、B種:30%以上50%未満、C種:50%以上70%以下
4) A種:20%以上40%未満、B種:40%以上60%未満、C種:60%以上80%以下

Q2: 高炉セメントの特徴として、誤っているものはどれか。

1) 普通ポルトランドセメントに比べて初期強度の発現が遅い
2) 水和熱が小さい
3) 耐硫酸塩性に優れる
4) アルカリ骨材反応を抑制する効果が低い

[st-kaiwa3]これらの問題を通じて、高炉セメントの基本を確認しましょう [/st-kaiwa3]

3. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? 上記の問題の解答及び解説

A1: 正解は 2)

解説:
高炉セメントの種類は、含まれる高炉スラグ微粉末の量によって分類されます。

  • A種:5%以上30%未満
  • B種:30%以上60%未満
  • C種:60%以上70%以下
種類範囲
A種5%以上30%未満
B種30%以上60%未満
C種60%以上70%以下

この分類を覚えておくことで、各種類の特性をおおよそ把握することができます。この数字の分類は機械的におぼえると難しいですが、次のように理解しておくと覚えやすいです。

高炉セメントB種は普通ポルトランドセメントの約40%を高炉スラグで置き換えています。その結果、本来セメントとしてつかわれる天然の石灰石を40%減らすことができ、結果的にセメントを製造するときに発生する石灰石の熱分解や燃料の燃焼に起因する二酸化炭素排出量を約40%削減できます。このことが、環境配慮型設計といわれる理由ともなっているのです。(一般的に現在市販されている高炉セメントB種は40~45%の含有量となっています。)

このことは、以下の鐵鋼スラグ協会さんの図がわかりやすいので掲載させていただきます。

https://www.slg.jp/activity/kourosement_portal.html より引用>

上記の図で、高炉セメントの部分には焼成工程でのCO2排出がないことがわかります。

A2: 正解は 4)

解説:
高炉セメントの主な特徴は以下の通りです:
1) 初期強度の発現が遅い(正しい)
2) 水和熱が小さい(正しい)
3) 耐硫酸塩性に優れる(正しい)
4) アルカリ骨材反応を抑制する効果が高い(誤り)

高炉セメントは、アルカリ骨材反応を抑制する効果が高いことが知られています。これは、高炉スラグ微粉末がアルカリを固定する作用を持つためです。

[st-kaiwa3]高炉セメントの特徴を理解することで、適切な使用方法が見えてきます [/st-kaiwa3]

4. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? 覚えておくべきポイント

  1. 高炉スラグ微粉末の混合率による分類(A種、B種、C種)
  2. 初期強度発現が遅いが、長期強度は普通ポルトランドセメントと同等以上
  3. 水和熱が小さいため、マスコンクリートに適している
  4. 耐硫酸塩性に優れ、化学的耐久性が高い
  5. アルカリ骨材反応の抑制効果がある

http://www.esmentkanto.co.jp/cement.html より引用>

[st-kaiwa3]これらのポイントは、現場での材料選定や品質管理に直結します [/st-kaiwa3]

5. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? 関連知識

高炉セメントは、産業副産物である高炉スラグを有効利用した環境配慮型のセメントです。高炉スラグは製鉄所の副産物で、これを微粉末化して普通ポルトランドセメントと混合することで製造されます。

高炉セメントの使用によるメリット:

  1. CO2排出量の削減
  2. 天然資源の節約
  3. 廃棄物の有効利用

ただし、初期強度発現が遅いため、早期の強度が必要な場合や寒冷地での使用には注意が必要です。

[st-kaiwa3]高炉セメントの使用は、環境への配慮と品質の両立を可能にします [/st-kaiwa3]

6. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? 復習問題とその解答

Q: 高炉セメントB種の特徴として、適切でないものはどれか。

1) 高炉スラグ微粉末の混合率は30%以上60%未満である
2) 普通ポルトランドセメントより初期強度の発現が速い
3) マスコンクリートに適している
4) 耐硫酸塩性に優れる

A: 正解は 2)

解説:高炉セメントB種は、普通ポルトランドセメントより初期強度の発現が遅いです。その他の特徴は正しく、B種は最も一般的に使用される高炉セメントです。

[st-kaiwa3]この復習問題で、高炉セメントの特徴を再確認しましょう [/st-kaiwa3]

7. 高炉セメントとは? A種、B種、C種の違いは? まとめ

高炉セメントは、環境性能と耐久性に優れたセメントです。A種、B種、C種の違いを理解し、それぞれの特徴を把握することで、適材適所での使用が可能になります。初期強度発現の遅さには注意が必要ですが、長期的な強度や耐久性を考慮すると、多くの場面で有用な選択肢となります。

コンクリート業界で働く皆さんには、この知識を活かして、より持続可能な建設に貢献していただきたいと思います。わたしたちも日常的な環境配慮だけでなくこうして仕事のなかでも環境に配慮することができるのです。高炉セメントの特性を理解し、適切に使用することで、環境にも構造物にもやさしい施工が可能になるのです。

[st-kaiwa3]高炉セメントの知識を活かし、より良い建設を目指しましょう! [/st-kaiwa3]

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