【粗骨材補正はなぜ必要?】コンクリートの空気量測定~正しい測定と品質管理のために~

2. 骨材

皆さん、こんにちは!コンクリート品質管理の番人、Rikisei です!今日も皆さんに、コンクリートに関する必須知識をお届けします!

今回は、コンクリートの空気量測定における粗骨材補正について、徹底解説します!

「粗骨材補正って、なぜ必要なの?」「すべてのエアメーターで必要なの?」「どうやって補正するの?」そんな疑問を解消し、より正確な空気量測定、ひいてはコンクリートの品質向上に繋がる知識を身につけましょう!

この記事を読めば、粗骨材補正の重要性、その理論、具体的な方法、そして注意点まで、すべてがわかります!コンクリート技士試験対策はもちろん、コンクリート製造、施工に関わる全ての方に必見の内容です!

さあ、粗骨材補正をマスターして、コンクリート品質管理のプロフェッショナルを目指しましょう!

1. 空気量測定と粗骨材補正:なぜ必要なのか?

まずは、なぜ空気量測定において粗骨材補正が必要なのか、その理由を明確にしましょう。

コンクリートの空気量は、ワーカビリティー、耐凍害性、耐久性などに大きく影響する重要な要素です。そのため、フレッシュコンクリートの空気量を正確に測定することは、コンクリートの品質管理において非常に重要です。

空気量の測定には、通常、エアメーターが用いられます。エアメーターは、コンクリートに圧力を加え、その圧力変化から空気量を測定する装置です。(ボイルの法則を応用)

しかし、エアメーターで測定される空気量には、コンクリート中の「真の空気量」(エントレインドエアなど)だけでなく、粗骨材の粒子間空隙に含まれる空気量も含まれてしまいます。

粗骨材は、その形状や表面の凹凸によって、粒子と粒子の間に隙間(空隙)を持っています。この空隙は、コンクリートの品質には影響を与えないため、本来は空気量としてカウントすべきではありません。

そこで、測定された空気量から、粗骨材の影響分を差し引く(補正する)粗骨材補正が必要になるのです。

イメージ図

[コンクリート中の空気]
+-------------------+
|  ●  ○  ●  ○   |  ←エントレインドエア(真の空気量)
|  ○  ●  ○  ●   |
|  □□□□□□□   |  ←粗骨材
|  □  □  □  □   |
|  □□□□□□□   |
|  ▲  ▲  ▲  ▲   |  ←粗骨材の粒子間空隙(空気を含む)
|  ▲  ▲  ▲  ▲   |
+-------------------+

エアメーターで測定される空気量 = 真の空気量 + 粗骨材の粒子間空隙の空気量

真の空気量 = エアメーターで測定される空気量 - 粗骨材補正値

コンクリート技士試験ポイント!

  • 粗骨材補正は、エアメーターで測定した空気量から、粗骨材の粒子間空隙の影響を取り除くための補正
  • 粗骨材補正を行わないと、空気量を過大評価し、コンクリートの品質を誤って判断してしまう可能性がある

粗骨材補正の必要性は、覚えておきましょう。ただ、現実的には現場では7リットル程度の大きな空気量測定器をつかうため骨材の空気の影響が少ないと判断され、骨材補正を行わないことが多いです。(というか、私は経験ありません。)

2. 粗骨材補正の方法:計算と実験

粗骨材補正の方法には、主に計算による方法実験による方法の2つがあります。

2-1. 計算による方法

計算による方法は、以下の手順で行います。

  1. 粗骨材の単位容積質量(または絶乾単位容積質量)を測定する:JIS A 1104(骨材の単位容積質量及び実積率試験方法)に準拠して、粗骨材の単位容積質量(または絶乾単位容積質量)を測定します。
  2. 粗骨材の表乾密度(または絶乾密度)を測定する: JIS A 1110(粗骨材の密度及び吸水率試験方法)に準拠して、粗骨材の表乾密度(または絶乾密度)を測定します。
  3. 粗骨材の空隙率(または絶乾空隙率)を計算する:以下の式を用いて、粗骨材の空隙率(または絶乾空隙率)を計算します。
    • 空隙率(%) = (1 – (粗骨材の単位容積質量 / 粗骨材の表乾密度)) × 100
    • 絶乾空隙率(%) = (1 – (粗骨材の絶乾単位容積質量 / 粗骨材の絶乾密度)) × 100
  4. 粗骨材の質量を求める:コンクリートの配合から、単位体積あたりの粗骨材の質量を求めます。
  5. コンクリートの単位容積質量を測定する:コンクリートの単位容積質量を測定します。
  6. 粗骨材補正値を計算する:以下の式を用いて、粗骨材補正値を計算します。
    • 骨材補正値(%) = 粗骨材の空隙率(%) × (粗骨材の質量 / コンクリートの質量)
    • 絶乾状態を基準とする場合: 骨材補正値(%)= 粗骨材の絶乾空隙率(%) × (粗骨材の絶乾質量/コンクリートの質量)

2-2. 実験による方法(骨材修正係数法)

実験による方法は、以下の手順で行います。

  1. 標準試料の準備:使用する粗骨材と細骨材を用いて、標準的な配合のコンクリート試料を複数作製します。(AE剤は使用しない)
  2. 空気量測定:エアメーターを用いて、各試料の空気量を測定します。
  3. 単位容積質量測定:各試料の単位容積質量を測定します。
  4. 理論空気量算出:各試料の配合と単位容積質量から、理論空気量(骨材の空隙を含まない空気量)を計算します。
  5. 骨材修正係数算出:測定空気量と理論空気量の差から、骨材修正係数を算出します。
    • 骨材修正係数 = (測定空気量 – 理論空気量) / 粗骨材の質量比
  6. 骨材補正値算出:以降、この粗骨材を使用する場合、測定した空気量から、以下の式で求めた骨材補正値を差し引きます。
    • 骨材補正値(%) = 骨材修正係数 × 粗骨材の質量比

コンクリート技士試験ポイント!

  • 粗骨材補正の方法には、計算による方法と実験による方法がある
  • 計算による方法は、粗骨材の単位容積質量、表乾密度(または絶乾密度、絶乾単位容積質量)を用いて計算する
  • 実験による方法は、標準試料を用いて骨材修正係数を求める

どちらの方法を用いるかは、現場の状況や求める精度によって判断します。一般的には、計算による方法が簡便ですが、より正確な粗骨材補正を行うためには、実験による方法が推奨されます。特に、吸水率の高い骨材や、特殊な骨材を使用する場合は、実験による方法が適しています。

3. 粗骨材補正の注意点

粗骨材補正を行う際には、以下の点に注意が必要です。

  • 骨材の状態:計算による方法では、粗骨材の単位容積質量、表乾密度(または絶乾密度、絶乾単位容積質量)を正確に測定することが重要です。骨材の状態(表乾状態、絶乾状態など)を統一し、JIS規格に準拠した方法で測定しましょう。
  • 骨材の種類:骨材の種類(天然骨材、人工骨材、砕石、砂利など)によって、空隙率が異なります。骨材の種類に応じた適切な補正値を用いる必要があります。
  • 吸水率:吸水率の高い骨材を使用する場合は、骨材がコンクリート中の水分を吸収し、空気量の測定値に影響を与える可能性があります。実験による方法で骨材修正係数を求めるか、計算による方法の場合は絶乾状態を基準に計算を行うことが推奨されます。
  • エアメーターの種類:エアメーターの種類(JIS A 1128に準拠したエアメーター、ワシントンエアメーターなど)によって、測定原理や容器容量が異なります。使用するエアメーターに適した方法で粗骨材補正を行う必要があります。
  • 記録:粗骨材補正に用いたデータ(骨材の種類、単位容積質量、表乾密度、空隙率、骨材修正値など)は、必ず記録しておきましょう。

4. まとめ:粗骨材補正を正しく行い、コンクリートの品質を守ろう!

今回は、コンクリートの空気量測定における粗骨材補正について、詳しく解説しました。

  • 粗骨材補正は、エアメーターで測定した空気量から、粗骨材の粒子間空隙の影響を取り除くために必要
  • 粗骨材補正を行わないと、空気量を過大評価し、コンクリートの品質を誤って判断してしまう可能性がある
  • 粗骨材補正の方法には、計算による方法と実験による方法がある
  • 骨材の種類、状態、吸水率、エアメーターの種類などを考慮して、適切な方法で粗骨材補正を行う

粗骨材補正は、一見地味な作業ですが、コンクリートの品質管理において非常に重要な役割を果たします。この記事で学んだ知識を活かし、粗骨材補正を正しく行い、より高品質なコンクリートを作り、守りましょう!

これからも、コンクリートに関する様々な情報をお届けします。一緒に、コンクリートのプロフェッショナルを目指しましょう!

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