【最終回】コンクリート技士試験・計算問題で落ちないためのチェックリスト(5/5) | 「この5問を制する者は、試験を制す」

重要計算問題

5日間にわたる冒険、本当にお疲れ様でした。

あなたは今、コンクリート技士試験のラスボス(計算問題)が繰り出す必殺技の、そのすべてを攻略する術を手にしています。

  • 第1の技:計算問題の重要性という「心構え」
  • 第2の技:配合の心臓部「水セメント比」
  • 第3の技:骨格となる「骨材の状態」
  • 第4の技:見えざる品質支配者「空気量」

そして今日、ついに最後の扉を開きます。

これまで身につけたすべての武器を総動員して挑む、最終関門。

それは、現場の実務そのものをシミュレートした「試し練り結果からの配合補正」です。

この問題が解けるということは、あなたが単なる知識の暗記者ではなく、生きたコンクリートを扱える本物の技術者思考を持っていることの証明に他なりません。

■ なぜ、この問題が「最終関門」なのか?

実際の現場では、計画通りに物事が進むことなど、まずありません。

「スランプが計画より大きい」「空気量が足りない」「塩化物量が基準値ギリギリだ」…

試し練りの結果という現実を前に、複数の問題を同時に、かつ論理的に解決する能力が求められます。

この最終問題は、まさにその縮図。

これまでのように一つの要素だけを問うのではなく、すべての知識を連携させて、最適解を導き出す総合力が試されるのです。

健康診断に例えるなら、これまでは「血圧測定」や「心電図」といった個別の検査でした。しかし今回は、それらすべての結果を読み解き、的確な診断を下す「総合診療」なのです。

■ すべての計算は「体積」に通ず

この複雑に見える問題を解くための、たった一つの、そして最強の羅針盤があります。

それは、「各材料の絶対体積 + 空気量の合計 = 1 m³ (1000 L)」という、コンクリートの絶対法則です。

(水の体積) + (セメントの体積) + (砂の体積) + (砂利の体積) + (空気の体積) = 1000 L

そして、各材料の体積は、その「質量」を「密度」で割ることで求められます。

体積 (m³) = 質量 (kg) ÷ 密度 (kg/m³)

どんなに複雑な補正を求められても、この「質量と体積の変換」という基本に立ち返れば、道に迷うことは絶対にありません。

■ 最終決戦!「試し練り補正」の完全攻略チャート

さあ、最後の戦いです。敵(問題文)の出方に応じて、冷静に手順を踏んでいきましょう。

【作戦①】敵情分析:試し練りの結果を整理せよ

まずは落ち着いて、問題文に示された「計画値」と「実測値」を並べて書き出します。

  • スランプ:計画10cm → 実測12cm (軟らかすぎ)
  • 空気量:計画4.5% → 実測3.5% (少なすぎ)
  • 塩化物イオン量:実測0.28 kg/m³ (基準値0.30 kg/m³に対し、余裕は少ない)

【作戦②】空気量補正:第4の技を繰り出せ!

まず、最も影響の大きい「空気量」から補正します。

不足している空気量の体積(この場合1.0% = 0.01 m³)を、細骨材率(s/a)に基づき、砂と砂利の体積から追加します。(今回は空気量が少ないので、骨材を減らすのではなく、他の材料を追加するために全体の分母を調整するイメージです)

【作戦③】スランプ補正:第2の技との連携

スランプが軟らかすぎる場合、単位水量が多すぎたことを意味します。基準(例:スランプ1cmあたり単位水量2%減)に基づき、単位水量を減らします。

ここで「水セメント比は変えない」の黄金ルールを適用!減らした水の量に応じて、セメントの量も減らします。

【作戦④】最終調整:質量と体積のパズルを完成させよ

補正後の水、セメント、空気の体積が確定しました。

残りの体積を、「細骨材率(s/a)は変えない」のルールに従って、砂と砂利に分配します。そして、それぞれの体積に「表乾密度」を掛けて、最終的な「単位質量(kg/m³)」を算出するのです。

これが、あなたが解答用紙に書くべき、栄光の数字です。

■ 最後の最後まで、この罠に気をつけろ

  • 罠①:パニックになり、どこから手をつけていいか分からなくなる→ 必ず「空気量」から。次に「単位水量(スランプ)」。この順番が鉄則です。
  • 罠②:細骨材率(s/a)を「質量」の比率で計算してしまう→ s/aは、あくまで「体積」の比率です。この勘違いが、最も致命的な計算ミスを誘発します。
  • 罠③:すべての補正が終わったと油断する→ 最後に必ず「塩化物イオン量」の再計算を。骨材の量を変更したことで、基準値を超えてしまう可能性があります。最後の最後まで、技術者としての確認を怠らないでください。

■ 旅の終わりに。そして、決戦の舞台へ

5日間の旅路、本当にお疲れ様でした。

この連載で扱った5つの計算問題は、独立しているようで、すべてが根底で繋がっています。

それは、「コンクリートという材料の本質を、数字で理解する」という、ただ一つの思想です。

あなたはもう、一夜漬けの知識に怯える受験者ではありません。

コンクリートの品質を左右する数字の責任を理解し、それをコントロールする術を身につけた、技術者の卵です。

試験当日、もし不安に襲われたら、この言葉を思い出してください。

「暗記は裏切るが、計算力は裏切らない」

あなたがこの5日間で積み上げた思考のプロセスは、本番で最も頼りになる武器となります。

自信を持って、試験会場の門をくぐってください。

この5問を制する者は、コンクリート技士試験を制す。

あなたの健闘と、輝かしい合格を、心から祈っています。

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