こんにちは!建設現場でコンクリートの品質管理といえば、生コン車が到着するたびに「スランプ試験」を行うのが当たり前の光景ですよね。しかし今、この「スランプ試験」が現場からなくなるかもしれないという大きな転換期を迎えています。
「えっ、スランプ試験をしないと水分量や柔らかさが分からないのでは?」と思うかもしれませんが、実はAIやセンサーを使った最新技術への置き換えが国を挙げて検討されているのです。
今回は、なぜスランプ試験が廃止に向かっているのか、そして最先端のAI測定とはどのようなものなのか、メリットや課題を含めて分かりやすく解説します!ちなみに、わたしはそもそもスランプ試験は必要なのか?という疑問を日々いだいています。なぜなら規定の時間以内に受け取ればほぼ100%、合格するからです。
無駄なものは慣習に負けずに、技術進歩とともにどんどん省いていきたいものです。
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そもそもスランプ試験の目的とは?
スランプ試験は、生コンクリートの変形や流動に対する抵抗(コンシステンシー)を測るための試験です。専用のコーンを引き上げた際に、コンクリートの頂点が何cm下がったか(スランプ値)を測定します。
これにより、コンクリートの流動性が分かり、現場での作業のしやすさ(ワーカビリティー)を確認することができます。
なぜスランプ試験がなくなる?「性能規定型」へのシフト
そんな重要なスランプ試験ですが、国土交通省の「コンクリート生産性向上検討協議会」では、スランプ試験(およびスランプ値の指定)の廃止が検討されています。
最大の理由は「人手不足」と「生産性の向上」です。従来のスランプ試験には、施工業者や試験業者など多くの人員と手間がかかり、これが生産性向上の妨げになっていました。
そこで、今後は以下のような根本的な運用見直しが構想されています。
- 発注者によるスランプ値の指定を廃止し、施工者が最適なものを決める「性能規定型の運用」への変更。
- JIS認定工場で製造された製品であることを前提とし、現場での受入検査(スランプや水セメント比の確認など)を省略する。
アナログからデジタルへ!スランプ試験の「代替案」
現場でコーンを引き上げるアナログな試験をやめる代わりに、ICTを活用した最新技術による全数予測手法の導入が進められています。主な代替案は以下の3つです。
1. AIでの画像解析
生コン車からポンプ車に生コンを流す「シュート」をカメラで撮影し、流れる生コンの画像からAIがスランプ値を高精度に解析・推定する方法です。国土交通省ではすでに2023年度から全国の直轄工事で試行を開始しており、2026年度(令和8年度)からの適用を目指しています。
2. 情報化ミキサー(スマートアジテーター)
生コン車(ミキサー車)にセンサーやタブレットなどの機器を取り付け、生コンの状態をデータ化する仕組みです。生コンの状態をインターネットで遠隔共有できるため、現場に到着して品質試験を行わずともすぐに打設を開始できます。
3. 生コン工場でのAI予測システム
現場ではなく、製造段階でもAIの活用が始まっています。たとえばUBE三菱セメント株式会社は、ミキサーの運転状況や材料データ、環境条件などをAIに学習させ、生コン製造時にスランプや空気量をリアルタイムで高精度に予測するシステムを開発し、試験運用を開始しています。
AI導入のメリットと「乗り越えるべき課題」
このような技術が導入されると、試験に割かれていた人員を削減でき、生コンの状態をリアルタイムで把握して品質を安定させられるという大きなメリットがあります。
一方で、現場への完全移行には以下のような課題も指摘されています。
- 環境や設備導入のハードル 画像解析は「日当たりの具合」で誤差が生じやすく、カメラの設置やネットワーク接続には専門知識と労力が必要です。そのため、小規模な現場での実現が難しいというデメリットがあります。
- 「全数検査」になることへのジレンマ 従来のスランプ試験は、一定量ごとに一部を調べる「抽出検査」でした。しかし、AI画像解析や情報化ミキサーを使うと、運ばれてくるすべての生コンを監視する「全数検査」になります。これにより、「もし一瞬でも規格外の数値が出た場合に、すべて廃棄するのか?」といった異常値への対応が新たな課題となっています。
まとめ
「スランプ試験にこだわる必要はない」という現場の肌感覚はまさに的を射ており、現在はアナログな品質管理から、工場での品質保証とAI・センサーを駆使したスマートな管理へと移行する過渡期にあります。
全数検査のルール整備や小規模現場への対応など課題はまだ残っていますが、建設業界のDX化の波は確実に「生コンの常識」を変えようとしています。今後の動向から目が離せませんね!


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