コンクリート業界で奮闘されている皆様、お疲れ様です。現場や工場での忙しい日々の中、基本的な用語の理解を深める時間を作るのは難しいかもしれません。しかし、エントレインドエアとエントラップトエアの違いを正確に理解することは、品質の高いコンクリートを製造・施工する上で非常に重要です。
これらの用語は似ているため、混同されがちですが、コンクリートに与える影響は全く異なります。エントレインドエアは品質向上に寄与し、もう一方のエントラップトエアは品質低下の原因となるのです。本記事では、この2つの「空気」の違いをわかりやすく解説します。
忙しい合間を縫って、この記事に目を通していただければ、きっと明日からの仕事に活かせる知識が得られるはずです。コンクリートの品質向上は、建築物や構造物の安全性、耐久性に直結します。私たちの仕事が社会の発展に貢献していることを胸に、一緒に学んでいきましょう!
2. エントレインドエアとエントラップトエア|コンクリート技士試験の類似問題
以下の問題で、あなたの知識をチェックしてみましょう。
問題:コンクリート中の空気に関する記述として、正しいものはどれか。
1) エントレインドエアは、耐凍害性の向上に効果がない。
2) エントラップトエアは、意図的に連行された空気である。
3) エントレインドエアは、AE剤によって導入される微細な空気泡である。
4) エントラップトエアは、コンクリートの強度を向上させる。
3. エントレインドエアとエントラップトエア|問題の解答及び解説
正解:3) エントレインドエアは、AE剤によって導入される微細な空気泡である。
解説:
1) 誤り。エントレインドエア は耐凍害性の向上に大きく寄与します。
2) 誤り。意図的に連行されるのはエントレインドエアです。
3) 正しい。AE剤によって導入される微細な空気泡がエントレインドエアです。
4) 誤り。 エントラップトエア は強度を低下させる要因となります。
なかなか、文字で書いてもイメージわかないので、図で理解しましょう。ほかのサイトさんでよい図を掲載されていたので引用させていただきます。
*露木建設さんHPより引用(https://tsuyuki-kensetsu.co.jp/concrete/)
この図をみるだけで、エントラップトエアは品質にわるく、エントレインドエアは品質を良くするイメージがよくわかると思います。
4. エントレインドエアとエントラップトエア|覚えておくべきポイント
エントレインドエア (連行空気)
- AE剤によって意図的に導入される
- 直径が0.05mm以下の微細な球状の空気泡(50μm)
- 耐凍害性の向上、ワーカビリティの改善に寄与
エントラップトエア (巻き込み空気)
- 練混ぜ時に不可避的に巻き込まれる
- 不定形で大きな空気泡(直径1mm程度以上)
- コンクリートの品質低下の原因となる
エントレインドエアを導入するのが、Air Entraining Agent:空気連行剤、つまりAE剤です。ちなみに、AE減水剤というのもあります。
AE剤とAE減水剤の主な違いは以下の通りです:
AE剤(Air Entraining agent):
- 主な目的:コンクリート中に微細な空気泡を導入する
- 効果:凍結融解抵抗性の向上、ワーカビリティの改善
- 水セメント比への影響:ほとんどなし
AE減水剤(Air Entraining and Water Reducing agent):
- 主な目的:空気泡の導入と同時に単位水量を減少させる
- 効果:AE剤の効果に加え、強度増加、耐久性向上
- 水セメント比への影響:低下(通常5-15%程度)
AE減水剤は、AE剤の機能に加えて減水効果も持つ複合的な混和剤です。そのため、コンクリートの品質向上により幅広く寄与しますが、使用量や配合の調整にはより注意が必要です。
5. エントレインドエアとエントラップトエア|関連知識
- AE剤(Air Entraining agent):微細な空気泡を連行するための混和剤
- 気泡間隔係数:エントレインドエアの分布状態を表す指標
- フレッシュコンクリートの空気量試験:JIS A 1128に規定される試験方法
気泡間隔係数は、コンクリートの凍結融解抵抗性を評価する重要な指標です。これは、硬化したコンクリート中の任意の点から最も近い気泡までの平均距離を表し、通常μmまたはmmで表されます。
250μm以下が望ましいとされ、小さな値ほど高い凍結融解抵抗性を示します。顕微鏡を用いた線形横断法で測定され、空気量や気泡の大きさ、分布に影響されます。適切な気泡間隔係数の管理は、耐久性の高いコンクリートの製造に不可欠であり、コンクリート技士にとって重要な知識となります。
顕微鏡を用いた線形横断法
顕微鏡を用いた線形横断法(Linear Traverse Method)は、硬化したコンクリート中の気泡の特性を測定する標準的な方法です。この方法の概要は以下の通りです:
- 試料準備:
- コンクリート試料を切断し、表面を研磨します。
- 研磨面にコントラストを付けるため、表面処理(例:墨入れ)を行います。
- 測定手順:
- 処理した試料を顕微鏡下に置きます。
- 試料表面上に複数の直線(走査線)を設定します。
- これらの走査線に沿って、顕微鏡を移動させます。
- データ収集:
- 走査線が気泡と交差するたびに、その長さを記録します。
- 気泡間の距離も記録します。
- 分析:
- 収集したデータを基に、気泡の総数、サイズ分布、気泡間隔係数などを計算します。
- 計算:
- 気泡間隔係数は、これらの測定値を用いて特定の数式で算出されます。
この方法は、ASTM C457などの国際規格で標準化されており、コンクリートの品質管理や研究において広く使用されています。精密で信頼性の高い結果が得られる一方、熟練した技術と時間を要する方法でもあります。
6. エントレインドエアとエントラップトエア|復習問題とその解答
問題:エントレインドエアとエントラップトエアの説明として、誤っているものはどれか。
1) エントレインドエアは、コンクリートの凍結融解抵抗性を向上させる。
2) エントラップトエアは、コンクリートの強度を低下させる要因となる。
3) エントレインドエアは、ワーカビリティを悪化させる。
4) エントラップトエアは、練混ぜ時に不可避的に発生する。
解答:3)
解説:エントレインドエアは、ワーカビリティを改善する効果があります。その他の記述は正しいです。
7. エントレインドエアとエントラップトエア|まとめ
エントレインドエアとエントラップトエアの違いを理解することは、コンクリート技術者にとって非常に重要です。[ エントレインドエア ]は意図的に導入され、コンクリートの品質向上に寄与します。一方、{ エントラップトエア }は避けるべき空気であり、品質管理の際に注意が必要です。この知識を日々の業務に活かし、より高品質なコンクリート製造・施工に貢献していきましょう。