こんにちは、コンクリート技士試験の受験生の皆さん。 今回は、骨材の粒度と粗粒率について解説します。 骨材は、コンクリートの体積の約70%を占める重要な材料であり、 その粒度と粗粒率は、コンクリートの性能に大きな影響を与えます。
骨材の粒度とコンクリートの粗粒率
■骨材の粒度とは、骨材の粒度は、骨材を構成する粒子の大きさの分布を指します。具体的には:
- 様々な大きさのふるいを用いて骨材を分類し、各ふるいに残る骨材の量を測定します。
- これにより、骨材中の各粒径の割合が分かります。
- 粒度は、コンクリートの workability(作業性)、強度、耐久性に影響を与えます。
■コンクリートの粗粒率とは、粗粒率(Fineness Modulus, FM)で、骨材の粒度を表す指標の一つです。
- 特定のふるい目(0.15mm〜76mm)での累積残留率の合計を100で割った値です。
- 値が大きいほど、骨材が粗いことを示します。
- 一般的に、細骨材の粗粒率は2.6〜3.1、粗骨材は6.0~8.0程度の範囲が望ましいとされています。
試験勉強と仕事の両立は大変かもしれませんが、ここで紹介する内容を理解することで、 コンクリートの品質管理に役立つ知識が身につくはずです。一緒に頑張りましょう!
骨材の粒度と粗粒率 コンクリート技士試験の類似問題
■問題:粗骨材の粗粒率が大きくなると、コンクリートにどのような影響を与えるか。適切でないものを選べ。
- ワーカビリティーが低下する
- 単位水量が増加する
- 単位セメント量が減少する
- 乾燥収縮が減少する
ちなみに、粗粒率とは、10種類の各ふるい ( 80, 40, 20, 10, 5, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3, 0.15 mm) にとどまる試料の質量百分率の和を100で割って求めます。粗骨材の計算例をあげると下記の通り。下記の計算例から粗粒率が大きくなると大きな骨材の量が多くなることがわかります。
粗粒率の計算例(粗骨材)
例1: 砕石(最大寸法40mm)の粗粒率計算
ふるい目 | 残留率(%) | 通過率(%) | 累積残留率(%) |
---|---|---|---|
80mm | 0 | 100 | 0 |
40mm | 5 | 95 | 5 |
20mm | 40 | 55 | 45 |
10mm | 35 | 20 | 80 |
5mm | 15 | 5 | 95 |
2.5mm | 5 | 0 | 100 |
1.2mm | 0 | 0 | 100 |
0.6mm | 0 | 0 | 100 |
0.3mm | 0 | 0 | 100 |
0.15mm | 0 | 0 | 100 |
累積残留率の合計 = 0 + 5 + 45 + 80 + 95 + 100 + 100 + 100 + 100 + 100 = 725
粗粒率 = 725 ÷ 100 = 7.25
例2: 砂利(最大寸法20mm)の粗粒率計算
ふるい目 | 残留率(%) | 通過率(%) | 累積残留率(%) |
---|---|---|---|
80mm | 0 | 100 | 0 |
40mm | 0 | 100 | 0 |
20mm | 5 | 95 | 5 |
10mm | 50 | 45 | 55 |
5mm | 35 | 10 | 90 |
2.5mm | 8 | 2 | 98 |
1.2mm | 2 | 0 | 100 |
0.6mm | 0 | 0 | 100 |
0.3mm | 0 | 0 | 100 |
0.15mm | 0 | 0 | 100 |
累積残留率の合計 = 0 + 0 + 5 + 55 + 90 + 98 + 100 + 100 + 100 + 100 = 648
粗粒率 = 648 ÷ 100 = 6.48
骨材の粒度と粗粒率 問題の解答及び解説
正解は2です。
粗骨材の粗粒率が大きくなると、粒子の大きい骨材の割合が増加し、ワーカビリティーが低下する傾向にあります。 また、粗粒率が大きい骨材を使用すると、単位セメント量を減少させることができ、乾燥収縮が減少します。 一方で、粗粒率が大きくなると、骨材の表面積が減少するため、単位水量は減少します。
[st-kaiwa3] 粗骨材の粗粒率が大きいと、ワーカビリティーは低下するが、単位セメント量と乾燥収縮は減少する [/st-kaiwa3]
骨材の粒度と粗粒率 覚えておくべきポイント
- 骨材の粒度は、ふるい分け試験により評価する
- 粗粒率は、骨材の粒度分布を表す指標の一つ
- 細骨材の粗粒率は、2.6〜3.1の範囲が適切とされている
- 粗骨材の粗粒率は、6.0〜8.0の範囲が適切とされている
骨材の粒度と粗粒率は、コンクリートのワーカビリティーや強度に大きな影響を与える。また、粗粒率の計算をもとめられることもあるのでふるいの大きさが10種類あって、 80, 40, 20, 10, 5, 2.5, 1.2, 0.6, 0.3, 0.15 mm があるということを頭に入れておきましょう。
また、以下の動画をみるとふるい分け試験がよくわかります。参考までにちょっと見ておくことをおすすめします。
ちなみに、ふるい試験の前にJIS1102によれば、
ふるい試験の詳細として、下記のようなこともあります。
いざ、本当に自分でやることを想像すると、こうしたことも覚えておきたいものです。
ゼネコンの方であれば、海外にでて自分でコンクリートを練る必要が出てくる可能性もあります。
そう思ったら、こうしたちょっとしたことも気になってきます。
ぜひ参考にしてみてください。
- 測定前に、試料を105±5 ℃で一定質量となるまで乾燥させる。乾燥後,試料は室温まで冷却させる。
- 細骨材は0.1 g,粗骨材は1 gまで測定する
- 1分間に各ふるいを通過するものが,全試料質量の0.1 %以下となるまで作業を行う。
骨材の粒度と粗粒率 関連知識
- 骨材の最大寸法は、コンクリートの強度や耐久性に影響を与える
- 骨材の実積率は、コンクリートの単位容積質量に影響を与える
- 人工軽量骨材は、天然骨材と比べて粒度分布が均一である
- 再生骨材を使用する場合は、粒度分布に注意が必要
骨材の粒度と粗粒率 復習問題
問題:細骨材の粗粒率が小さくなると、コンクリートにどのような影響を与えるか。適切なものを選べ。
- ワーカビリティーが向上する
- 単位水量が減少する
- 単位セメント量が増加する
- 乾燥収縮が増加する
[st-kaiwa3] 正解は1と4です。 細骨材の粗粒率が小さくなると、粒子の小さい骨材の割合が増加し、ワーカビリティーが向上します。 ただし、粗粒率が小さすぎると、単位水量が増加し、乾燥収縮が増加する傾向にあります。 また、細骨材の粗粒率が小さくなると、単位セメント量を増加させる必要があります。 [/st-kaiwa3]
骨材の粒度と粗粒率 まとめ
骨材の粒度と粗粒率は、コンクリートの性能に大きな影響を与える重要な指標です。 細骨材と粗骨材の適切な粗粒率の範囲を理解し、 コンクリートのワーカビリティーや強度、耐久性を確保するために、 骨材の粒度分布を適切に管理することが重要です。
[st-kaiwa3] 骨材の粒度と粗粒率を適切に管理し、所要の性能を満たすコンクリートを製造することが重要 [/st-kaiwa3]
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