コンクリートの品質を左右する重要な要素の一つが骨材の品質です。ゼネコンや設計事務所、コンクリート関連会社で日々現場に携わる皆さんにとって、骨材がコンクリートの性状に与える影響を正しく理解することは、品質の高い構造物を築くための基礎となります。
忙しい業務の合間でも、骨材に関する知識を体系的に整理しておくことで、現場での判断力が格段に向上します。今回は、骨材の品質とコンクリートの性状の関係について、コンクリート技士試験でよく出題される内容を中心に解説していきます。一緒に学んで、現場力をアップさせましょう!
2. 骨材の品質とコンクリートの性状 コンクリート技士試験の類似問題
問題:骨材の品質とコンクリートの性状に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1) 細骨材中の0.3〜0.6mmの粒径の部分が増えると、コンクリートに連行される空気量は増加する。
(2) 細骨材中に有機不純物が多く含まれていると、コンクリートの凝結や硬化が妨げられる。
(3) 粗骨材の弾性係数が大きいと、コンクリートの乾燥収縮は大きくなる。
(4) 粗骨材の安定性試験による損失質量が大きいと、コンクリートの耐凍害性は低下する。
3. 骨材の品質とコンクリートの性状 問題の解答及び解説
正解は(3)です。
粗骨材の弾性係数が大きいと、コンクリートの乾燥収縮は小さくなります。これは、弾性係数の大きい(硬い)骨材がセメントペーストの収縮を拘束する効果が大きいためです。
各選択肢を詳しく見てみましょう:
(1) 細骨材中の0.3〜0.6mmの粒径部分と空気量の関係 この粒径範囲の細骨材が増えると、AE剤による気泡の安定化が促進され、連行空気量が増加します。これは正しい記述です。
(2) 有機不純物の影響 細骨材中の有機不純物(腐植土、木片など)は、セメントの水和反応を阻害し、凝結時間の遅延や強度発現の妨げとなります。これも正しい記述です。
(3) 粗骨材の弾性係数と乾燥収縮の関係【不適当】 弾性係数の大きい骨材は、セメントペーストの収縮を拘束するため、コンクリート全体の乾燥収縮は小さくなります。
(4) 安定性試験と耐凍害性 安定性試験で損失質量が大きい骨材は、凍結融解作用に対する抵抗性が低く、コンクリートの耐凍害性も低下します。これは正しい記述です。

硬い骨材は収縮を抑える「縛り」の役割をするんだね
4. 骨材の品質とコンクリートの性状 覚えておくべきポイント
- 細骨材の粒度とAE剤の効果:0.3〜0.6mm粒径が多いと空気連行性が向上する
- 有機不純物の害:セメントの水和反応を阻害し、凝結・硬化を妨げる
- 粗骨材の弾性係数と収縮:弾性係数が大きいほど乾燥収縮は小さくなる
- 骨材の安定性:安定性試験の結果は耐凍害性と密接に関連する
所要の強度を満足し、施工性の良いコンクリートを得るためには、適切な骨材の品質管理が重要です。

骨材は「脇役」だけど、コンクリートの性能を大きく左右する重要な材料だよ
5. 骨材の品質とコンクリートの性状 関連知識
細骨材の粒度とAE剤の関係
細骨材の粒度分布は、AE剤による空気連行効果に大きく影響します。特に、0.3〜0.6mmの中間粒径が適度に含まれることで、気泡の生成と安定化が促進されます。
有機不純物の種類と影響
- 腐植土:セメントの凝結を著しく遅延させる
- 木片・葉:強度発現を阻害し、耐久性を低下させる
- 石炭片:ポップアウトの原因となることがある
骨材の弾性係数とコンクリートの性質
骨材の弾性係数は、コンクリートの変形特性に大きく影響します。一般的に、石灰石<砂岩<花崗岩の順で弾性係数が大きくなり、コンクリートの乾燥収縮は小さくなります。
安定性試験の重要性
硫酸ナトリウムを用いた安定性試験は、骨材の凍結融解抵抗性を評価する重要な指標です。損失質量が規定値を超える骨材は、耐凍害性の低いコンクリートとなる可能性があります。

骨材の種類によってコンクリートの性格が決まることを覚えておこう
6. 骨材の品質とコンクリートの性状 復習問題
問題:骨材がコンクリートの性状に与える影響について、適切でないものを選べ。
- 細骨材の粗粒率が大きくなると、ワーカビリティーが低下する
- 粗骨材の最大寸法が大きくなると、単位水量は減少する
- 骨材の吸水率が大きいと、コンクリートの乾燥収縮は大きくなる
- 扁平な粗骨材を使用すると、コンクリートの強度は向上する
解答:(4)
扁平な粗骨材を使用すると、コンクリートの強度は低下します。扁平な骨材は:
- 材料分離を起こしやすい
- 骨材の下面にブリーディング水が集まりやすい
- 有効断面が小さくなり、応力集中が生じやすい
- ワーカビリティーも悪化する
これらの理由により、強度や耐久性の低下につながります。

骨材の形状も品質の重要な要素なんだね
7. 骨材の品質とコンクリートの性状 まとめ
骨材の品質は、コンクリートの各種性状に大きな影響を与える重要な要素です。細骨材の粒度分布はAE剤の効果に影響し、有機不純物は凝結・硬化を阻害します。また、粗骨材の弾性係数が大きいほど乾燥収縮は小さくなり、安定性の悪い骨材は耐凍害性を低下させます。
現場では、骨材の受入れ検査において、これらの品質項目を適切にチェックすることが重要です。特に、新規骨材を使用する際や、骨材の供給元が変わる場合には、事前の品質確認を怠らないようにしましょう。適切な骨材の選定と品質管理により、所要の性能を満足するコンクリートを製造することができます。

骨材の品質管理を理解して、要求される性能を満たす最適な骨材を選定することがコンクリートの品質確保に重要
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