【空気室圧力方法】とは?コンクリートの空気量を測る!ボイルの法則から徹底解説~コンクリート技士試験対策に~

4. フレッシュコンクリート性質

皆さん、こんにちは!Rikisei です。日本国内は寒いのでコンクリートを本日のような日に打設するのは大変だと思います。今日も皆さんと一緒に、コンクリートの奥深さを探求していきましょう!

今回のテーマは「空気室圧力方法による空気量測定」

「コンクリートの中の空気の量なんて、どうやって測るの?」

「そもそも、なぜ空気の量が重要なの?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実は、コンクリートの中の空気の量は、コンクリートの耐久性や強度に大きく影響する、非常に重要な要素なんです!そして、その空気量を正確に測定する方法の一つが、「空気室圧力方法」です。難しい言葉をつかいましたが要は空気量測定の方法です。

この記事では、「空気室圧力方法」の原理、測定手順、そしてその背景にある「ボイルの法則」まで、図解を交えながら、わかりやすく解説します!コンクリート技士試験対策はもちろん、コンクリートの品質管理に関わる全ての方に役立つ情報をお届けします!

いつも、受入検査のとき、シカシカと圧力をあげてトントントン、、、などとやっているのを訳も分からずみていませんか。今日はあの空気量測定の原理を紐解いていきます!

1. コンクリート中の空気、なぜ重要?

まずは、「なぜコンクリート中の空気の量が重要なのか」を理解しておきましょう。

コンクリートには、大きく分けて2種類の空気が含まれています。

  • エントラップトエア(巻き込まれ空気):コンクリートを練り混ぜる際に、自然に巻き込まれる空気。比較的大きく、不規則な形をしています。
  • エントレインドエア(連行空気):AE剤などの混和剤を添加することで、意図的にコンクリート中に導入される、微細で均一な空気。

このうち、特に重要なのがエントレインドエアです。エントレインドエアは、コンクリートに以下のような効果をもたらします。

  • ワーカビリティー向上:微細な空気泡がボールベアリングのような役割を果たし、コンクリートの流動性を高め、作業性を向上させます。
  • 耐凍害性向上:コンクリート中の水分が凍結する際に発生する膨張圧を、微細な空気泡が吸収し、コンクリートのひび割れを防ぎます。(特に寒冷地では重要!)
  • 乾燥収縮低減:コンクリートの乾燥収縮を抑制し、ひび割れを抑制します。
  • ブリーディング抑制:ブリーディングを減らす効果があります。

つまり、エントレインドエアを適切にコントロールすることで、より使いやすく、より耐久性の高いコンクリートを作ることができるのです!

ここで、コンクリート技士試験ポイント!

  • コンクリート中の空気には、エントラップトエアとエントレインドエアがある
  • エントレインドエアは、ワーカビリティー、耐凍害性、乾燥収縮、ブリーディングに影響する

この点は、試験でよく問われるポイントです!


2. 「空気室圧力方法」の原理:ボイルの法則を応用!

それでは、いよいよ「空気室圧力方法」の原理を解説します。

「空気室圧力方法」は、ボイルの法則を応用した測定方法です。

ボイルの法則とは、「一定温度の下で、一定量の気体の体積は、圧力に反比例する」という法則です。式で表すと、以下のようになります。

P₁V₁ = P₂V₂

  • P₁:初期状態の圧力
  • V₁:初期状態の体積
  • P₂:変化後の圧力
  • V₂:変化後の体積

つまり、気体の圧力を変化させると、その体積も変化する、ということです。

「空気室圧力方法」では、このボイルの法則を利用して、コンクリート中の空気量を測定します。具体的には、以下の手順で測定します。

  1. 密閉容器にコンクリート試料を入れる:測定対象となるフレッシュコンクリートを、密閉できる容器(空気室)に入れます。
  2. 空気室に圧力を加える:空気室に一定の圧力(P₁)を加えます。すると、コンクリート中の空気は圧縮され、体積が減少します(V₁ → V₂)。
  3. 圧力変化を測定する:圧力を加えた後の空気室の圧力(P₂)を測定します。
  4. 空気量を計算する:ボイルの法則(P₁V₁ = P₂V₂)を応用した計算式を用いて、コンクリート中の空気量(V₁)を算出します。

実は、あの空気量測定の機器は、下記の左図のように上部の空気室と下部のコンクリートが入っている部屋にわかれていて、最初にシカシカして空気の圧力をあげているのは、上部の空気室の部分の圧力をある一定の基準まで上げているのです。(メモリ的には初圧力の部分)

http://www.osaka-maruma.co.jp/air.pdf より引用>

上部の空気室の空気と下部のコンクリートの部屋の境の弁(上部の図で【作動弁】)をあげて空気をまぜると、コンクリートに空気が全くない場合は、空気の圧力が変わらないので、空気量が0となります。

ですが、実際には空気が少しあるので圧力がさがり、メモリの針が動いて下がった分に相当する空気量%のメモリを指す、という仕組みになっています。だから簡単にいえば、たくさん空気がコンクリートに入っている場合はメモリの針が大きくことになります。

イメージ図

[測定前]
+-----------------+
|    空気室       |  P₁ (初期圧力)
|  +-----------+  |  V₁ (コンクリート+空気の体積)
|  | コン(空気 |  |
|  | 含む)   |  |
|  +-----------+  |
+-----------------+

[圧力解放(減圧)後]
+-----------------+
|    空気室       |  P₂ (減圧後の圧力)
|  +-----------+  |  V₂ (コンクリート+膨張した空気の体積)
|  | コン(空気 |  |
|  | 膨張)     |  |
|  +-----------+  |
+-----------------+

ボイルの法則: P₁V₁ = P₂V₂

コンクリート技士試験ポイント!

  • 空気室圧力方法は、ボイルの法則を利用してコンクリート中の空気量を測定する
  • ボイルの法則:P₁V₁ = P₂V₂

この原理と計算式は、試験で必ず押さえておきましょう! なお、ワシントン・エアメーターは注水で使う場合と無注水で使う場合がありますが、定期的な校正チェックをしていれば、水をつかわず凍結の心配もなく試験方法も簡単な無注水式で問題ありません。

なお、下記の動画をみるとさらに理解が深まると思います。

<高田レミコンさんの動画より引用>

3. 「空気室圧力方法」の具体的な測定手順と注意点

「空気室圧力方法」による空気量測定は、通常、エアメータと呼ばれる専用の測定器を用いて行います。エアメータには、いくつかの種類がありますが、ここでは一般的なエアメータを用いた測定手順を説明します。

測定手順

  1. 試料採取:測定対象となるフレッシュコンクリートを採取します。
  2. 試料投入:エアメータの容器(下部容器)に、コンクリート試料を所定の方法で詰めます。(3層に分けて突き棒で締め固めるなど)
  3. 上面すり切り:容器の上端から余分なコンクリートを取り除き、平らにならします。
  4. 蓋の取り付け:エアメータの蓋(上部容器)を、容器に密着させます。
  5. 注水:注水口から水を入れ、空気室内の空気を追い出します。
  6. 圧力印加:空気ポンプで空気室に所定の圧力(P₁)を加えます。
  7. 圧力計の読み取り:圧力計の目盛りを読み取り、加圧後の圧力(P₂)を記録します。
  8. 空気量算出:エアメータに付属している計算図表、または計算式を用いて、空気量を算出します。
  9. 骨材修正:粗骨材の影響を補正するため、必要に応じて骨材修正値を加えます。

日本においては実際はワシントンエアメーターというものを使用しているのがほとんどだと思います。あらためて手順については下記の動画が参考になります。たぶん、皆さん見慣れた光景だと思います。(岡山生コンクリート販売協同組合さんの動画を引用させていただいています。)

注意点

  • エアメータは精密機器なので、取り扱いには十分注意する。
  • 測定前に、エアメータの校正を行う。(校正は、水と校正容器を使って行う)
  • コンクリート試料は、代表的なものを採取する。
  • 試料の詰め方、すり切り、圧力印加などの操作は、JIS A 1128(フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法-空気室圧力方法)などの規格に従って、正確に行う。
  • 測定結果に影響を与える要因(気温、気圧、コンクリートの温度など)も記録する。

コンクリート技士試験ポイント!

  • エアメータは、空気室圧力方法による空気量測定に用いられる
  • 測定手順は、JIS A 1128などの規格に従って行う
  • 骨材修正について

JIS A 1128やエアメータの取扱説明書をよく読み、正しい測定方法を習得しましょう。

4. 空気量測定、その他の方法

空気量を測定する方法は、「空気室圧力方法」だけではありません。他の代表的な方法として、以下のものがあります。

  • 質量方法:コンクリートの単位容積質量から空気量を計算する方法。
  • 容積方法(残水法):コンクリート中の空気を水と置換して、その体積を測定する方法。

これらの方法は、「空気室圧力方法」に比べて、測定に時間がかかる、精度が低いなどのデメリットがありますが、特殊なコンクリート(超高強度コンクリートなど)の空気量測定に用いられることがあります。

5. まとめ:空気量を制する者は、コンクリートを制す!

今回は、「空気室圧力方法」による空気量測定について、詳しく解説しました。

  • コンクリート中の空気量(特にエントレインドエア)は、コンクリートの品質に大きく影響する
  • 「空気室圧力方法」は、ボイルの法則を利用して空気量を測定する
  • 測定にはエアメータを用い、JIS A 1128などの規格に従って行う
  • 空気量測定には、他にも質量方法や容積方法がある

コンクリートの空気量を正確に測定し、適切にコントロールすることは、高品質なコンクリートを作る上で非常に重要です。

この記事を参考に、「空気室圧力方法」をマスターして、ぜひコンクリート技士試験合格、そしてコンクリートの品質向上に役立ててください!

これからも、コンクリートに関する様々な情報をお届けします。一緒に、コンクリートの奥深い世界を探求していきましょう!

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